【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 思わず振り返ると、家のドアを開けてこっちを見ているお母さんがいた。

 見知らぬ男二人に挟まれている娘達を見ても、お母さんは平然としている。

 もうちょっと慌てるとか不審がったりしないの?
 ってかしてよ!


 ある意味呑気そうにも見えるお母さんに突っ込みたくなる。

 でも、お母さんは平然としたままこう続けた。


「帰ったなら早く家の中に入りなさい。田神(たがみ)さんもどうぞ」

 一瞬田神って誰? と思ったけど、お母さんの視線の先と“さん”付けしたことから、私達の背後に立っていた男性のことだと理解した。


 あれ? 知り合いなの?
 え? 何これ、どういう状況?


 軽く混乱しながら愛良と顔を見合わせると、私と同じように“訳が分からない”と言った表情をしている。

 狐につままれた様な顔って、多分こういう顔のこと言うんだろうなって思った。
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