貴女ノ為ノ此ノ半年
俺は口が開けなかった。いつも茅乃は元気にしているから。現実とは思えなかった。

『でね、余命半年だって…。気付くのが遅すぎたってさ。本当は1年前から発病してたんだって』

…余命半年?
笑わせるな。茅乃は俺と結婚するんだ。余命半年なわけねーだろ。

そう思いつつも俺は茅乃の前で一人静かに大きな涙を一滴ながした。

茅乃は泣き崩れて、『死にたくないよお…』
と言った。

< 21 / 41 >

この作品をシェア

pagetop