元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「どうしたの? レティ」
「これ……」

 私は足元を指差す。
 扉の下の隙間に小さな紙が挟まっていた。

「手紙かしら? もしかして、ラブレターだったりして」

 私がまさかと笑うと、アンナはしゃがみ込んでそれを抜き取った。
 そして4つ折りにしてあるらしいそれを裏返して「あ」と声を上げた。

「ここにクローチェ様って小さく書いてあるわ」
「私?」
「なになに? レティへのラブレター?」

 アンナはワクワクした様子でそれを広げ、

「きゃあっ!?」

悲鳴を上げて手から放った。

「え、なに? どうしたの?」

 一瞬でよく見えなかった私はひらひらと舞っているそれを床に落ちる寸前で手に取った。
 そして、息を呑む。

「なに、これ……」
 
 その手紙には趣味の悪い赤いインクでこう書かれていた。

『目障り。消えろ。』と――。

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