元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。


「……ねぇ、アンナ。やっぱり先生のとこ行くのやめない?」
「なんで?」

 ユリウス先生の部屋まであと少しのところで足を止め、私は言った。

「もしかしたら、本当に偶然、風で落ちてきただけかもしれないし」

 やっぱりあまり大事にはしたくなくて、先ほど医務室の先生にはそう説明したのだ。
 するとアンナは目を大きくして言った。

「そんなわけないでしょう!?」
「でも私、昼間自分で解決してみせますって先生に大見得切っちゃったんだよね」

 きっと、「だから言ったでしょう」と呆れられてしまうに違いない。

「それに、犯人がわかったとして、その人きっと」
「まぁ重い処分が下るでしょうね。普通に考えて退学じゃない?」
「でしょう? さすがにそれは可哀想かなって……」
「レティ」

 アンナが真剣な目で私を見つめた。

「レティは危害を加えられたのよ。はっきりとした悪意を持ってね。小さな怪我で済んだのは幸いだったけど、運が悪ければ大怪我をしていたかもしれないのよ?」
「う、うん」
「そんな人は退学になって当然なの。私、犯人を絶対に許さないわ」
「アンナ……」

 アンナが本気で怒っているのがわかって私はそれ以上何も言えなくなってしまった。
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