元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

「――な、なんでお前が、国に帰ったんじゃ……!?」

 今朝、顔を青くして彼から距離をとったラウルに、リュシアン様は平然とあの異質な笑みを浮かべ言ったのだ。

「今日からしばらくの間、君たちのクラスメイトさ。よろしく頼むよ。えっと、君、名はなんと言ったかな?」

 そうしてまるであの日のことなど忘れてしまったかのように首を傾げた彼に、ラウルはただ握り締めた拳をわなわなと震わせていた。
 アンナはしばらくの間唖然としていたし、私も怒りや恐怖よりも驚きと戸惑いの方が大きくてその後の授業はほとんど頭に入ってこなかった。

(こういう日に限って、ユリウス先生の授業はないし……)

 名家の令息令嬢が多く通うこのベルトリーニ学園。他国からの留学生も珍しくはないが、王子様ともなれば話は別だ。
 お陰で皆(主に女子)彼に興味津々で先ほどから私たちは痛いほどの視線に晒されている。
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