元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。

第五話


 翌朝、早速ユリウス先生を監視するため私はいつもより早起きをした。
 これまでもほぼ毎日のように先生の元を訪れていた私だけれど、潔白を証明できるまでは直接会うのを我慢して、少し離れた場所からその行動を見守ろうと決めたのだ。

 といっても流石に先生たちの寮の中までは入れないので、先生が寮から出てくるところから監視スタート。
 それから授業合間の休み時間、ランチタイムと、まるで小説に出てくる探偵さながらその姿を追っているけれど、今のところ先生の様子におかしなところはない。――ただ。

(遠くから見ていても、やっぱりカッコいいなぁ……)

 ひとつひとつの仕草に思わず見惚れてしまって、つい本来の目的を忘れそうになってしまうのが少々困りものだった。

 そしてあっという間に放課後になった。
 空に一番星が輝き始めた頃、寮へと帰る先生を渡り廊下の柱の影からじっと見つめていると。

「一体なんの真似ですか、ミス・クローチェ」
「え!?」

 ぴたり足を止めたかと思うといきなり名指しされてびっくりする。
 焦って言い訳を考えていると、先生は呆れたように大きなため息を吐きながらこちらを振り返った。
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