男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
前方には副団長が部下を引き連れ戦っているのが見える。
ルイも切り掛かってくる海賊を剣で振り払い応戦する。
密偵がボルテを担ぎハクに向かい走る。

「カイル上だ!!」
副団長が遠くで叫ぶ。

カイルは応戦しながら、頭上にある運転席に狙撃手を確認。

ボルテ公爵に銃は向けられている事に気付きカイルは咄嗟に走り寄りながら、ナイフを狙撃手に目掛けて投げつける。

間に合うか⁉︎
気付いた誰もが息を呑む。

銃口から煙が登る。

瞬間、カイルが前のめりに倒れる。

「団長!!」
密偵の叫び声、数秒時間が止まる。

と、ふらりとカイルは立ち上がりボルテ公爵に近付く。
狙撃手にナイフは見事に刺さっていた。

反撃は無い。

傷は深いか⁉︎

「カイル大丈夫か⁉︎」
副団長もカイルに駆け寄る。

「団長!!」
密偵はカイルに歩み寄り体を支える。
左肩から大量の血が流れ出ている。
そこに居る皆が目を見開き血の気が引く。

「カイル殿!!」
ルイもすかさず歩み寄り体を支える。
「聖水を、副団長!!」

「…騒ぐな…弾は貫通している。
…早く…二人を連れて飛び立て……。」
カイルはどうにかそれだけを伝える。


薄れ行く意識の中でカイルは思う。

サラ、サラに……会いたい……

彼女の顔ばかりが思い浮かぶ、笑った顔、膨れた顔、泣いた顔…

ごめん…約束は守れないかもしれない…

サラからもらった首から下げた空っぽの小瓶を握り締め…

カイルの意識はそこで途絶えた…

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