男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「あっ、大事な事を忘れていた。」
と、カイルはコートのポケットから手のひらくらいの小さな箱を取り出しサラの目の前で蓋を開ける。
「うわぁ、綺麗…。」
思わずサラは声に出して言ってしまうほど輝くそれは、紛れもなく婚約指輪だった。
箱の中で輝く指輪は、大粒のダイヤにシルバーのリングにも小粒のダイヤが並び触れるのも怖いくらい高価なものだった。
「今日からずっと、肌身離さず付けてくれ。」
そう言ってカイルは、事もなくサラの左手の薬指にはめてくれる。
サラはあまりの指輪の輝きに魅了されながらも
「こんなに高価な物をありがとうございます。大切にします。」
サラはしばらく、馬車に揺られながら手をかざし指輪をじっと見つめ続ける。
「そんなに喜んでくれるとは、もっと早く渡すべきだったな。」
カイルは笑いながら言う。
「そんな前から用意して頂いていたのですか?」
サラは思わずびっくりして、目を丸くしてカイルを見る。
実は、ボルテを助け出した翌日には探し始め、気に入った物がなかった為、国王御用達の職人によって作り出された一点ものだった。
「秘密だ。」
笑いながら言われたが、サラは気になって仕方がない。
しばらくずっと指輪を見続けるサラの右手を握りカイルは寒く無いかと手を温め、手の甲にキスを落とす。
サラはビクッと体を揺らしカイルを見つめ、困り顔で言う。
「…お手柔らかにお願いします。
…これでは心臓がいくつあっても足りません…。」
カイルはそんなサラを見て、ハハッと声を出して笑う。
「サラが指輪ばかり見て、こっちを見てくれないから嫉妬した。」
と軽口を言う。
そんな事を言われ慣れないサラは真っ赤になって俯くしか無かった。