怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました

拓海にこんな不安そうな顔をさせたいわけじゃない。鼻が触れそうな距離で見つめ合うと、沙綾は彼を安心させるように小さく微笑み、ゆっくりと頷いた。

(もう逃げないで、彼の話を聞こう。今さらじゃない。今だからこそ、ちゃんと話さないと)

すると「ちょっと! 私がいるって忘れてない?」と笑い混じりの夕妃の声に慌てて拓海から距離を取る。

「思ってることを全部言わないからすれ違うんだよ。一時間くらいなら湊人は私が公園で見てるから、ちゃんと話しな」
「夕妃……」
「湊人、これから私と一緒に公園いかない?」
「いくー!」
「よし! じゃあオムツ替えてお茶飲んだら行こっか」
「いこっか」

どこまでも頼もしい夕妃が手早く準備を促し、湊人を連れてアパートを出ていった。




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