年下彼氏の結婚指導

　途端に喝采が湧き上がる。
　華子は慌てて意識を浮上させた。
（ひぃっ、しまった。情報量の多さに現実が遠くなっていた！）

「えっと……」
　慌てて身を離せば、眼前に迫った翔悟が「返事は？」と首を捻る。
　その不安げな眼差しに胸がきゅんと締められて。
（ずるいっ）
　周りの期待に満ちた視線に背中を押され、華子は意を決して自分の気持ちを口にした。
「……はい、嬉しいです。これからよろしくお願いします。まずは──」
　まずは結婚を前提としたお付き合いから……という台詞は拍手喝采に塗りつぶされた。そして、
（あ）
　と言う間に翔悟に抱き竦められ、華子と翔悟の結婚は会社に周知される事になったのだった。