オチタカラス

猫拾われる

 春輝サイド
ザーザー
 雨が降りしくなか僕は、雨に濡れながら公園のベンチに座っていた。
「やっぱり、いらない子はいなくならなきゃいけないな」
 考え事にふけっていると、
「ねぇ、あんた、死ぬ気?」
 と、男の人が、話しかけてきた。
 声を出すのが面倒で、コクっとうなずいた。
「そう、あんた名前は?」
「春輝」
「春輝、死ぬんだったら、その命俺に頂戴。
 くれるんだったら、この手を取って」
 僕は、人に触れられるのも、触れるのも嫌いだが、
 この人は大丈夫だった。そんなことを考えていた。
 しかし、無意識に手を取っていたみたいだ。
「じゃあ、俺んちに帰るか」
 コクっとうなずいた。
 しかし名前を聞いていなかった。
「俺は、律」
「律」
「ん」
「寒い」
 と言って瞼を閉じようとして、律にもたれかかって、
 律が「おやすみ」と言ったところで、
 意識が飛んだ。
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