磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
柔らかい春の陽射しが暖かな休日。2人はベランダで飲み物を飲みながらゆったりと猫の動画を観ていた。家が出来上がるまで暮らす為のマンションだったが、ベランダが広い物件を探し見つけたのがここだった。目の前は公園で眼下には緑が広がっている。子ども達の遊ぶ声も聞こえてきていた。

動画が猫の授乳シーンになり、悠馬が顔をとろとろに綻ばせる。

「可愛いなあ。」

「それ、何回も観てるよね。」

「おお、特に気に入ってる動画を集めた再生リストに入れてるからな。可愛いだけじゃなくて親子愛があったかくてたまんねえよ。なんで高評価って一回しか押せねえのかな。」

「そうだね。永遠に観れそうだよね。」

「いやー早く猫と暮らしてえな。」

「先走っておもちゃとか買い過ぎちゃったよね。引っ越し荷物増えるってのに。」

「俺がいくらでも運んでやるよ。」

悠馬はここぞとばかりに力こぶを作る。

「出しゃばって引っ越し業者の邪魔になる気しかしないわ。」

「俺もそんな気がする。」

ふたりは声を合わせて笑った。

「・・・でもさ、引っ越しとか新しい家の中整えるとかかなりバタバタしそう。」

「そうだろうけど、それもまた楽しいだろうな。」

「初めてのことで自分の体調とかメンタルとかどうなるのか全然想像できないし。」

「・・・?体調?メンタル?お前まさか・・・!?」
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