磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
───悠馬にしては早く気づいたな。

「異動になったのか!?」

「へ!?」

「どこの部署だ?広報とか?」

「異動じゃないよ。」

「異動じゃない・・・ってことは、まさか!」

「・・・うん。」

「やー、おめでとう、真海。俺も嬉しいよ。やっぱり俺よりお前の方がふさわしいし。」

「ん!?」

「そうか~ついにお前が雑貨チームのリーダーになったか~。」

悠馬はしみじみと言う。

「違う!仕事から離れて!」

「え?仕事のこと以外に何かあったか?」

きょとんとする悠馬に真海の怒りが爆発した。

「赤ちゃんができたの!そんなことも察せられないなんてこの鈍感ムサゴリラが!」

真海がバンッとテーブルを叩くと上に置いてあった飲み物が倒れてこぼれた。

「えっ・・・。」

悠馬は明らかに困惑した表情を浮かべた。

「何、その顔!?嬉しくないわけ!?こんな風に言いたくなかった。微笑んで『私ね、赤ちゃんが出来たの。』『本当か!?』なんて二人で喜びたかった。もういいよ!あんたは家族より仕事の方が大事なんでしょ!?じゃあもう仕事と暮らしたら!?」

真海は立ち上がると寝室まで行き、ドアをバタンと閉めた。
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