磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
悠馬が帰っていき、夕食のカレーを食べた後、自室に戻った真海は猫のもずくと共にベッドに寝転んだ。

「・・・あーやっと落ち着いた・・・。」

───昨日からいろんなことがあり過ぎ・・・。北岡とは数年間隣の席だったのに、ここに来て急にいろんなこと話したし聞いたし、いろんなとこ触られて・・・いや、それは私を助けてくれるためだったんだけど・・・にしてもいくら筋肉バカでも体に力入らない大人を抱き上げて二人分の荷物も持つなんて大変だったろうな・・・。

テーブルの上に置かれた彼のタオルハンカチに目をやる。

───あ、結局ありがとうって言ってない・・・でも、どんな顔して言ったらいいの?洗ったハンカチと何かお礼の品に付箋で『ありがとう。』って貼ってあいつのデスクに置いとくとかは・・・。

そう考えてみたものの、その考えはすぐに消え去った。

「・・・やっぱりちゃんと顔見て言わなきゃ、ね、もずく。」

話しかけるともずくは『そうだね。』とでも言うように、閉じていた目を開いてじっと真海を見たのだった。
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