磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「・・・夕焼けきれい。」

真海がオレンジ色の空を見てふとつぶやいた。

「本当だな。少し見てくか?夕焼けなんてすぐ消えちゃうし。今日午前中のミーティング長引いて昼休み半分もとれないまま外出で工場でもずっとミーティングだったし、10分くらい休憩してもいいだろ。」

───つい言ってしまった・・・なんでだろ。

「え・・・うん。」

───こいつと、夕焼けを見るの?何その妙なイベント・・・。でもま、まあ、見てやってもいい・・・かな。疲れたし。


コンビニの駐車場に車を停め、飲み物を買ってきて車内で飲む。

「・・・。」

───今城、前回工場行った時と違って、今日は積極的に質問したり写真撮ったりしてたな・・・。

「・・・。」

───今日工場行って楽しかった・・・商品が作られてくとこ見て、より商品に愛着湧いたし、作ってる人達と話して学ぶことも多いし、今まで行かなかったことが悔やまれるよ・・・。

「・・・俺さ、思うんだけど。」

「え?」

「働くのってもちろん金のため、生活していくためだろ?でもさ、働くのが一日8時間だとしても、一日の3分の1は働いているわけだろ?朝だって眠くても仕事行く為に起きて、満員電車乗って会社まで通勤して、夜も明日仕事だから早く寝なきゃとか、もっと飲みたいけど仕事にひびかないようにこれくらいにしとこうとか、何気に家にいる時も仕事の為に動いてるだろ。休みの日に仕事で着る為の服買いに行ったりとかさ。そんなに時間とか労力とかかけて仕事に行ってるんだからさ、せっかくだから少しでも楽しめたら良いと思うんだ。働ける健康な体かあることも、仕事をもらえることも決して当たり前なことじゃないって思うんだよな。」
< 32 / 118 >

この作品をシェア

pagetop