磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「・・・な、に・・・。」

悠馬はそのままカチカチに固まってしまう。

「・・・あんたがこういうのが好みって言ってたから・・・さすがに部活のマネージャーが着てるみたいなジャージで会社来るわけにいかなかったし。」

「なっなんだよ、それってどういう・・・。」

「まだわかんないの?バッカじゃない?」

「だから何で・・・!?」

「あんたのこと好きだからに決まってるでしょ!」

「・・・お前が俺を?・・・好き?」

「うん。」

「・・・マママ、マジかよ・・・。」

悠馬の体がぷるぷると震えるのを感じて、抱きつく腕に力を入れる。

「マジだから言ってるんでしょ。」

「・・・なんで・・・?」

かすれた声を絞り出して尋ねる。

「わかんないけど・・・あんたと一緒にいるとその・・・なんか落ち着かないけど嬉しいし、すごく心が動くのを感じる。それでいて温かくて安心して・・・あんたがいると思うと、なんか力がわいてくるんだ。あんたの言葉は心にスッと落ちてきてそこにきれいにおさまるし。変な話だけど、ずっと前から一緒にいたんじゃないかとすら思えてきたの・・・だから今すごくしっくり来てる・・・きっと私も自覚してなかっただけで元々あんたに惹かれてたんだと思う。」

「今城・・・!」

悠馬は真海を包み込んでふんわりと抱きしめ返した。

「・・・ちょっと、抱きしめるならもっと強くぎゅっとしてよね・・・。」

「・・・だって柔らかくて潰しちゃいそうで怖いんだよ。」

「猫じゃないんだし大丈夫だから・・・。」

「そうか?」

腕に力を込めて思いきり抱きしめる。

「ぐえええ!苦しいよ!このバカ力!」

「お前がもっと強くって言ったんだろ!」

「だからって全力出すことないでしょ!加減しなさいよ!」

悠馬は腕の力を少し緩めて不安そうに尋ねる。

「・・・このくらい?」

「・・・うん。」
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