大嫌いの先にあるもの
「黒須、今いないんですか?」
「はい。一週間の予定でロサンゼルスに行きました」
「ロサンゼルスって、アメリカの?」
「そうです」
「だって大学の講義があるのに」
「今週は休講にすると言っていました」
後期の講義が始まっていきなり休講?
前期の講義ではそんな事なかったのに……。
大学の講義よりも大事な用事があるって事?
大学で会った時は何も言っていなかった。
それに……
「なんでロサンゼルスなんですか?」
黒須の実家はニューヨークだったはず。
「仕事だからです」
相沢さんの目が一瞬、困ったように泳いだ気がした。
気のせいかな?
「仕事って、相沢さんの会社の?」
「まあ、そんな所です。黒須ではないと対処できない事案が急遽、出来まして、行ってもらったんです」
リムレス眼鏡のブリッジ部分を人差し指で直しながら相沢さんが言った。
やっぱり納得できないものを感じる。
なんだろう。この違和感。
「春音ちゃん、一週間ぐらいあっという間に過ぎるって」
宮本さんが慰めるように言ってくれた。
いきなり一週間も会えないなんて……。
今日はやっぱり黒須の研究室に行くべきだった。
「はい。一週間の予定でロサンゼルスに行きました」
「ロサンゼルスって、アメリカの?」
「そうです」
「だって大学の講義があるのに」
「今週は休講にすると言っていました」
後期の講義が始まっていきなり休講?
前期の講義ではそんな事なかったのに……。
大学の講義よりも大事な用事があるって事?
大学で会った時は何も言っていなかった。
それに……
「なんでロサンゼルスなんですか?」
黒須の実家はニューヨークだったはず。
「仕事だからです」
相沢さんの目が一瞬、困ったように泳いだ気がした。
気のせいかな?
「仕事って、相沢さんの会社の?」
「まあ、そんな所です。黒須ではないと対処できない事案が急遽、出来まして、行ってもらったんです」
リムレス眼鏡のブリッジ部分を人差し指で直しながら相沢さんが言った。
やっぱり納得できないものを感じる。
なんだろう。この違和感。
「春音ちゃん、一週間ぐらいあっという間に過ぎるって」
宮本さんが慰めるように言ってくれた。
いきなり一週間も会えないなんて……。
今日はやっぱり黒須の研究室に行くべきだった。