大嫌いの先にあるもの
「春音」
振り向いた黒須は驚いたようにこっちを見ていた。
黒須に見つめられ、胸が苦しい。
「あの、出前、どこに置きますか?」
トレーを掲げると、黒須がいつもの余裕たっぷりな笑みを浮かべる。
その笑みに少しほっとする。
ピアノを弾いてる時は真っ暗な闇の中にいるみたいで怖かった。
「そうだな。バルコニーで」
黒須が合図をするように窓の外に視線を向ける。
大きな窓があって、その外にはテーブルと椅子が置かれた広いバルコニーがあった。
「わかりました」
広いリビングから、バルコニーに出ると、涼しい風を感じる。
目の前にはオレンジ色に光る東京タワーがある。
とても綺麗だった。
「どうぞ。春音も座って」
東京タワーに目を向けていると、いつの間にか近くに黒須がいた。
思いがけない近さに緊張する。
誘惑するような甘いコロンの香りもして、胸がドキドキして来る。
物凄く動揺してる。大嫌いな黒須に。
「出前に来ただけですから」
テーブルの上にサンドイッチを置いて、バルコニーから出ようとした時、腕を捕まれた。
びっくりして、顔を上げると至近距離で目が合った。
吸い込まれるような黒い瞳だった。その瞳はどこか悲し気で、寂しそう。
そして、とても優しい……。
初めて会った時もそんな優しい目をしていた。
振り向いた黒須は驚いたようにこっちを見ていた。
黒須に見つめられ、胸が苦しい。
「あの、出前、どこに置きますか?」
トレーを掲げると、黒須がいつもの余裕たっぷりな笑みを浮かべる。
その笑みに少しほっとする。
ピアノを弾いてる時は真っ暗な闇の中にいるみたいで怖かった。
「そうだな。バルコニーで」
黒須が合図をするように窓の外に視線を向ける。
大きな窓があって、その外にはテーブルと椅子が置かれた広いバルコニーがあった。
「わかりました」
広いリビングから、バルコニーに出ると、涼しい風を感じる。
目の前にはオレンジ色に光る東京タワーがある。
とても綺麗だった。
「どうぞ。春音も座って」
東京タワーに目を向けていると、いつの間にか近くに黒須がいた。
思いがけない近さに緊張する。
誘惑するような甘いコロンの香りもして、胸がドキドキして来る。
物凄く動揺してる。大嫌いな黒須に。
「出前に来ただけですから」
テーブルの上にサンドイッチを置いて、バルコニーから出ようとした時、腕を捕まれた。
びっくりして、顔を上げると至近距離で目が合った。
吸い込まれるような黒い瞳だった。その瞳はどこか悲し気で、寂しそう。
そして、とても優しい……。
初めて会った時もそんな優しい目をしていた。