だいすきボーイフレンド

ギャンブルなラブ

去年のお盆ぶりに会った西田翔平と、おとといぶりに会った真野晴人は何も変わっていなかった。

「おーおーおー、なに、お前らよく会ってんの」

駅から店に移動するまでの間に翔平が言ってくる。テンション高く絡んでくるのは高校の時から何も変わらない。こういう人間だ。

「ちょいちょいかな、こいつ暇なんだよね」

晴人が眠そうに言う。
大体待ち合わせ17時というのは、晴人からすると早い。夏の17時なんてまだまだ明るいし、晴人に言わせれば「夏の17時なんてまだまだ昼、冬の15時と一緒」らしい。
晴れてる人と書いて晴人なのに、晴れてる時の時間帯が一番似合わない。

「いやいや、晴人がいっつも連絡してくんのよ、究極のかまちょかまちょ」
「そう俺かまちょなの」

翔平がそう言う晴人と私を交互に見て、口元に嫌な笑みを浮かべる。

「仲良しやな」
「仲良しっていうか、こいつも俺も他に友達がおらん」

晴人の言葉に私は頷く。

「ふたり、付き合ってんの」
「ない」

晴人の方が否定が早かった。
この問合せは慣れっこだ。みんな、「付き合ってるわけないと思うけど、念の為の確認」くらいで聞いてくる。

「ないんや」

翔平はふんふんと笑いながら頷く。

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