だいすきボーイフレンド
今日は、翔平が大阪から東京に転勤が決まったから、東京に住んでる晴人と私とでもてなそうよ、と集まった。

翔平と晴人と私は高校3年の時、同じクラスで仲が良かった。
なんで仲良くなったのか覚えてない。ただ、波長が合ったくらいで。
その後、翔平だけが大阪に残り、晴人と私は上京し、あろうことか同じ大学の同じ学部に進学してしまい、濃い学生生活を過ごした。

就職先こそ違うけど、今でも東京という狭い区域の中で私たちはよく会う仲である。

一番話しやすくて、戦友というか、ソウルメイトというか、大切な存在だ。

そして私は高3の頃、ほのかに翔平のことが好きだった。と思う。

私はそれを認めてはいなかったけど、晴人に指摘されて認めざるを得なくなった。

「お前、翔平のこと好きだったんちゃうの」

東京に来て、偶然会った大学の生協でそれぞれお昼ご飯を探していた時に聞かれたこと。

あまりにも不意打ちで、私は構えていなかったから狼狽えてしまった。

「寂しかったら俺使えば」

晴人はキザにそう言って飲み物がズラリ並んだ冷蔵庫から紙パックのコーヒー牛乳を手に取ったことを、私は今でも覚えている。

「さむ」
「寒いとかじゃなくて優しさや、心貧しいから伝わらんのやろな、あんなど田舎の町から東京に出て来てビクビクしとるし、好きな人とも離れ離れになって見てられんから優しさで『俺のこと使ってな〜』言うただけやろ、何が『さむ』じゃ、ええで、べつに俺が学校の人気者になって相手できんくても涼香が構へんのやったらええんやで、でもな」

面倒くさかった。究極に。

「じゃあ仲良くしてください」

私はそれだけ言ってサンドイッチとバナナ・オ・レを手にしてレジへと向かった。

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