【SR】松嶋家の『殺意』


馬券は当たればかなり懐も暖まる
が、負ければ一銭にもならないた
だの紙切れ。
5万なんてあっという間に消えて
なくなる。


「いつも負けてんだからいい加減
やめればいいのに…
足りなくなったら俺にまで金借り
にくるんだぜ!」


ベッドにゴロンと寝転がった茂男は
、「痛っ!」と顔をしかめて起き
上がった。


「何でピスタチオがこんなところに落
ちてんだよ!」


見ると、無数のピスタチオがベッドの
上に――――


「いいからいいから。
話続けて?」


鼻の穴にピスタチオを詰めて、フンッと
飛ばして遊んでいた真紀子が、事
もなさげに言う。


「全く…それでも女かよ。
―――いたたっ…ごめんって!」
< 6 / 55 >

この作品をシェア

pagetop