年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 そんな驚いた私を見て気が済んだのか、睦月さんはふふっと息を漏らす。

「冗談だよ? そこ座ってテレビでも見てて」

 私の頭をポンと撫でて、睦月さんはキッチンへ向かって行った。

 本当、心臓が持たないよ……

 バクバク言う心臓を押さえるように私は胸に手を当てる。
 睦月さんは大人で、余裕があって、こんなことくらい普通に誰にでもしているんだろうけど、こんなことされたことのない私はいちいち反応してしまう。

 中学生どころか小学生並だ……

 自分に呆れながら、私はテレビを付けた。
 時間はまだ1時過ぎ。平日だから、どこの局もワイドショーをやっている時間帯だ。

「え?」

 私はそこで流れていたニュースに思わずそう口に出していた。

『今日、現在帰国している日本人ハリウッド女優ミッシェルさんの結婚が報じられました』

 ミッシェルさんは私の一つ年上。もちろん結婚したからって驚くような年齢ではないが、今日会って仕事をする相手の報道に、私はとても驚いた。

「へー。この子、結婚したんだ」

 いつの間にか、睦月さんがマグカップを両手に持って傍に立ち同じように画面を眺めている。

「みたいです……」

 私が答えると、睦月さんは私の隣に、少し間を開けて座った。
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