年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 結局、一旦家に帰ったところで仕事が手につくはずもなく、俺は家の中をウロウロして回るだけだった。

 キッチンに残された鍋の中身を確認して、さすがにたくさん作りすぎたなぁ……明日司に貰ってもらおう、なんて考えながらタッパーに詰めて冷蔵庫に入れた。

 さっちゃんが司と仕事してるところ、ちょっと見たかったな

 仕事の上では俺の師とも言える司と、信念を持って仕事に挑んでいるだろうさっちゃん。
 前にさっちゃんは、業界内で流れる司に対する噂話……と言うか実話を聞いて気にしていたが、さっちゃんなら司にもきっと対応出来ると思う。
 さっちゃんには、正直なところニューヨークで司が使っていたメイクアップアーティストに匹敵するくらい実力があるんじゃないかな? と思う。
 まだまだ若いし、これからまだまだ経験を積んでいけばそうなると思う。

 たぶん、俺より何倍も仕事しやすいんじゃないかなぁ

 2人が仕事してる姿を想像してそんなことを思う。そこで俺は、一番あって欲しくないことを想像してしまった。

 どうしよう……さっちゃんが司を好きになったら……

 俺より年上の司だけど、お父さん感などまるでないし、老若男女関係なく引き寄せるタイプの司だから、あり得ない話ではない。
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