年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
12.
 年内最後の香緒との撮影日。
 まだ今年は半月残ってるけど、本当なら月2回のところを、年末進行で今月の撮影は一回きり。

 俺が希海だったら、もっとさっちゃんに会えるのになぁ……なんて、くだらないことを考えてしまう。
 司との仕事も終わったし、さっちゃんとはしばらく何の接点もない。正直拷問かな? ってくらい会えない。普通に誘えばいいんだろうけど、下心丸出しで引かれそうだ。

 そんな事を悶々と考えていると、いつもの、仲の良い2人の楽しそうな様子が目に入った。

 声を掛けて話に入ると、2人、と言うか希海も合わせてさっちゃんの慰労会をするらしい。それもクリスマスイブに。

 俺なんて、さっちゃんと会えないこの日々をどう過ごそうか考えてたのに、羨ましい……って多少押さえ気味にいいなぁって口に出したら香緒は俺も参加してもいいと言ってくれた。

 もしかして、香緒、気づいてるのかな?

 なんて思うけど、それ以上は何もなく、俺達はスタジオを後にした。


「毎年やってるの? 何だっけ。お疲れ様会?」

 さっちゃんを送る車の中で、隣にいるさっちゃんに尋ねる。

「あ、はい。クリスマスに被ったのは初めてなんですけど、毎年してくれてます」
「へー。ちなみに何してたの? 今まで」

 俺の質問に、さっちゃんは思い出すように答え始めた。
< 182 / 611 >

この作品をシェア

pagetop