年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
16.
 あっ……!

 と思っても、もう遅かった。
 目の前には、声も出せないほど驚いているさっちゃんの顔。
 そして俺は今、自分のやってしまったことを頭の中で反芻して、叫びたくなった。

 なんで……なんでこんなところで、勢い余ってこんなこと言っちゃったんだろ……

 『香緒の知り合いじゃなくても、何才だろうと好きになってた』って言われて、一瞬頭が真っ白になった。
 それってもしかして、俺のこと既に好きってこと? と思ったら急に顔が熱くなった。
 でもそのあと、物凄く後悔した。
 何で、俺から先に「好きだよ」って言えなかったんだろうって。振られるのが怖くて、嫌われるのが怖くて、勇気を出せなかった自分。
 それなのに、さっちゃんはきっと勇気を振り絞って俺に告白してくれたんだと思うと情けない。でも反面、どうしようって言うくらい嬉しくて、つい今言わなくてもいいことまで口にしてた。

「へっ? 結婚?」

 我に返ったさっちゃんが、俺を見上げてそう呟く。

「ごめん! 今の無し! いや、無しじゃないや、やり直し!」

 自分でもわけがわからないくらいテンパっているのは承知の上で、あたふたしながら俺はそう口にする。

「とりあえず落ち着こう」

 自分に言い聞かせるように呟いて深呼吸をすると、さっちゃんに話しかける。

「何か飲むもの淹れるから、上がって貰っていい?」
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