年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 26にもなってできた初恋の人。初恋は実らないって言われてるけど、もうそんなことどうでもいい。だって私は、こんなにも睦月さんが好きだから。

「え……? え……?」

 睦月さんは、見たことないくらい驚いている。私がそんなことを言い出すなんて思ってもいなかったって顔だ。

「えっ。ちょっと……待って」

 急に顔を赤らめたかと思うと、睦月さんは口元に手を当てて恥ずかしそうに横を向く。

「あの……すみません。一方的に自分の気持ちを伝えてしまって。でも私……どうしても……聞いて欲しかったんです」

 きっと困ってるんだろうなって思うと、やっぱり居た堪れなくなって俯いてしまう。

「……ごめん」

 頭の上からそんな声が聞こえて来て、心臓がギュッとなった。

 そう……だよね……

 そう思うとまた泣きそうだ。
 けれど、睦月さんはそのまま私を自分のほうに引き寄せて、力の限りに抱きしめた。

「むっ、睦月さん⁈」

 コートに邪魔されて、くぐもったように私は声を上げる。

「先……越された。まさかそんな風に思ってくれてるなんて思ってなかったから」

 ゆっくり肩を引き離されて、睦月さんは私の顔を覗き込む。

「さっちゃん。俺はさっちゃんのことが好きだよ。妹なんかじゃなくて、一人の女の子として。だから俺と……結婚して?」

 今度は私が驚く番だった。
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