年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「おはようございま~す」

 メイク室にそう言いながら入って来たのは、いつもの仕事相手。

「おはようございます! 香緒ちゃん、今日の体調は?」
「今日も絶好調だよ? さっちゃん」

 あぁ。今日も綺麗だ。本当に。未だに男の人って信じられない。

 肩まで伸びた琥珀色の柔らかい地毛を今日は一つに纏めている。クォーターらしく、その長い睫毛も同じ色。とにかく人形みたいな容姿でとても中性的だ。

 たいして私は、ショートカットの黒髪にチビな上に貧弱な体。汚れてもいい動きやすさ重視のトレーナーにジーンズと、どちらかと言うとボーイッシュな格好だ。

「あ、結婚式ありがとう。休みの日にごめんね」

 そう言って香緒ちゃんはフワリと笑う。

「こちらこそ、パーティまで参加させて貰ってありがとう」

 そうなのだ。つい先日の日曜日。
 香緒ちゃんは(ゆかり)のある教会で、ほぼ身内と呼べる様な人だけ集めて結婚式を挙げたのだ。
もちろん極秘。相手はなんたって男の人だから。
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