年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 世間一般のサラリーマンより少し長めのお正月休み。
 その間毎日さっちゃんに会った。付き合った相手とこんなに頻繁に会うなんて初めてで、少し不安もあった。ちょっと引かれないかなぁ、なんて。でもそれは杞憂に終わり、自分でも驚くくらい自然に過ごすことができた気がした。
 時々外に出て話題のスポット、なんて言われるところにも行ってみたが、大体は俺の家で過ごすことが多かった。さっちゃんも、人が多いところより家でゆっくり過ごすほうが好きだと言ってくれて、一緒にご飯作ったり、映画を見たりしていた。

「さっちゃん、料理上手だよね」

 一緒にご飯を作りながらそう言うと、さっちゃんは意外そうな顔でこちらを見た。

「そう……ですか? 普通だと思ってるんですけど」
「そんなことないよ! 今時料理できない子も結構いるって聞くし」

 一般論、みたいに言うが、本当は過去に付き合った相手がほぼ料理をしない人ばかりだった。そんな流れにならなかっただけかも知れないけど、そう言えば外食が当たり前だったな、なんて思い出した。

「小さい頃から、お母さんが将来困らないようにって教えてくれたんです。もちろん真琴も。お父さんが料理出来ないから困ることもあったみたいで。これからは男女関係なく料理くらいできなきゃって言ってました」
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