年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「……はい。朝まで……一緒に過ごしたいです……」

 涙が零れ落ちてくるんじゃないかと思うくらい潤んだ瞳を向けられてそんなことを言われたら、もう止まることなんて出来ない。

「睦月さ、っ、ン!」

 名前を呼び終わる前にその唇を塞ぐ。甘く、柔らかな唇に噛み付くように自分の唇を重ねると、そのまま隙間から舌を差し入れた。歯列をなぞるように口の中を愛撫すると、力が抜けたようにそこは開かれ、俺はさらにその奥へと進んだ。

「っふ、んぁ……」

 鼻から抜けるような甘い声がして、俺の腕に捕まるさっちゃんの指に力が入る。
 今までもこうしてキスはしてきたけど、たぶん今が一番荒々しく求めていると思う。戸惑っているようなさっちゃんの舌を捕まえて、舌先を絡めると、おずおずとそれに応えてくれる。
時々息継ぎをするように隙間を開けて、お互い熱い息を漏らすと、また求め合う。

「ふ、ぅ、んっ……っ」

 差し出してくれた柔らかな舌を淫らな音を立てながら吸うと、よりギュッとその指に力が入った。

 気持ち良すぎてどうにかなりそう……

 そんなことを思いながら、名残り惜しげに唇を離す。
 口紅は取れてしまっているはずなのに、紅をさしたような艶やかな唇。それを指でなぞりながら、俺は口を開く。

「さっちゃんを……先に味わいたいんだけど。いい?」
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