年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 そんなことを言われたのだが、私がこっちで知ってる同郷の人なんて竜二おじさんくらいだ。さすがに連れて行けないから、そこは丁重にお断りした。

『ま、咲月が来てくれるだけでヨシとしよう! じゃ、よろしくね!』

 参加しないとは言い出せず、結局参加することになった。正直、女の子はともかく、男の子は全然分からないから話しかけられても困るんだよなぁ……とは思うんだけど。

 そんなことを考えながら、会場のパブに向かう。友達が言うには、いつもの倍以上の人が集まり、店を貸し切りにできたのだとか。
 それだけいれば店の隅っこで一人飲み食いしてても目立たないか、と少し肩の力が抜けた。

「あっ! 咲月! 久しぶり~!」

 店のドアを開けると、受付用にしているのか正面にテーブルが置いてあり、幹事をしている友達が真っ先にそう声を上げた。

「久しぶり。幹事お疲れ様!」

 手を振りながら私は友達に駆け寄る。

「あ、会費出すね」

 鞄を開け財布を取り出すと、何故かニヤリと笑われる。

「咲月さぁ~。彼氏できたでしょ?」

 私は持っていた財布を落とさん勢いで肩を揺らす。

「なっ、何で分かるの⁈」

 私は、いとも簡単に白状していた。
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