年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 目の前の友達、斉木(さいき)明日香(あすか)ちゃんは、文字通りお腹を抱えてヒーヒー言いながら笑っている。それを唖然としながらしばらく眺め、そして我に返った。

「ちょっと! そんなに笑うとこ?」
「いや、相変わらず正直者で可愛いわぁ」

 高校のころから変わらないショートカットに、パンツスーツの似合う彼女は涙を浮かべながら私にそう言った。

「もー! いいから、はい会費ね!」

 財布から取り出したお札をそう言って差し出す。

「あとでじっくり話し聞かせてもらうからねぇ」

 根掘り葉掘り聞かれそうだなぁ……と顔を引き攣らせている私を他所に、明日香ちゃんはニヤニヤしながらこちらを見ていた。

「お~い、斉木~。なんか手伝うことあるかぁ?」

 店の中はすでに集まった人達で盛り上がっていて、その向こう側からスーツ姿の男の人がそう言いながらやってくる。

「あぁ、竹内。ちょうど良かった」

 そう言って明日香ちゃんが後ろを見ながら言う相手を見上げて、私は声も出なかった。

「……咲月……」

 その相手は少し驚いているようだけど、私ほどではない。

「な、なんで健太がここにいるの⁈」

 ようやくそう言うと、明日香ちゃんがまたこちらに向き直した。

「えっ? 竹内と知り合い? 世間狭っ!」
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