年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「う……ん。ゴールデンウィークあたりにうちの実家に挨拶行こうかって話はしてるんだけど……」

 そう答えながら私は皿を受け取ると、健太は早くもビールを飲み干し私のほうを見た。

「おじさんは知ってるのか?」
「それが……まだ。お母さんには真琴からそれとなく伝えてもらってるんだけど。お父さん、知ったと同時にこっちに飛んで来るんじゃないか心配で……」

 私が憂い顔でそう言うと、2人は阿吽の呼吸で「「あぁ」」と納得したように呟いた。

「なんだ、お前も咲月んちのおじさん知ってんだ」
「そりゃあ、私は咲月の親友! ですから」

 そう言いながら明日香ちゃんは健太にも皿を差し出す。

「にしてもさ。おじさん、OKするかな?」

 健太は早速皿に乗ったスパイスの効いたチキンを口に運びながら言った。

「うーん。絶対一度は反対しそうだよね。自分のほうが歳近い息子できるんだから」

 明日香ちゃんも自分用に取り分けたピザを齧りつつそう言う。

「やっぱり……2人から見てもそう思うよねぇ……。うちのお父さん知ってるんだもん。睦月さんは承諾して貰えるまで何回だって通うって言うんだけど、すぐそこって距離じゃないし……」

 私が頭を抱えるようにそう吐き出すと、明日香ちゃんは何か思いついたように「そうだ!」と声を上げた。
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