年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「司さん、お久しぶりです。遅くなりましたが、ご結婚おめでとうございます」

 武琉君は荷台から降りると、そう言って丁寧に頭を下げた。さすが武琉君だ。礼儀正しい。そして、そう言われた司はなんとなく照れたような表情になっている。

「なんか、改めて言われるとあれだな。ま、ありがとな」

 今度は武琉君がはにかんだように「いえ」と返していた。

「ところで司はどっか行くの? 瑤子ちゃんは?」
「だから、なんでどいつもこいつも同じことを聞く。瑤子は家にいるし、俺は飯の調達に行くだけだ」

 顔を顰めながらそう言われて、すでに上で会っただろう誰かに同じことを聞かれたのかと笑ってしまった。

「だって、司が瑤子ちゃんと一緒じゃないほうが今となってはレアじゃん!」
「……悪かったな、レアで」
「で、ご飯買いに行くの? 後で払うから、俺達のぶんも一緒に買って来てくんない?」

 お昼ご飯はどこかに買いに行こうかと思っていたから、渡に船とばかりにそう言う。

「はぁ? 面倒くせーな。しかたねぇ、買ってきてやるよ。その代わりあとで話あるから聞いてくれ」
「りょーかい! こっちこそよろしく!」

 俺がそう言うと、司は「へいへい」と言いながら自分の車に向かって行った。
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