年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 何回かの台車の往復と、最後に一番大きなテレビボードを運んでさっちゃんの引っ越しは終了した。

「みんな、お疲れ様~! とりあえずお茶でも飲んで!」

 リビングに集まっていたみんなに俺はペットボトルを差し出す。

「本当! ありがとう。疲れたでしょう? 座って座って」

 さっちゃんもそう言いながら、同じようにみんなを促している。座ってと言っても、さっちゃんの荷物は全部別の部屋だし、俺の引っ越しは終わってないからイスの一つもなく床に直に座るしかないんだけど。

「僕は言うほどだけど、武琉も希海も働いてたよねぇ」

 香緒は2人に受け取ったお茶を差し出しながらそう言っている。

「久しぶりにこんなに体動かせて何かスッキリした」

 武琉君はまだまだと言った様子で香緒にそう言い、それに希海は少し呆れたように返す。

「さすがに俺はもう充分だ」

 そんな会話をしながら、自然に丸く囲うように皆で床に座った。

「睦月君の引っ越しはいつするの?」
「俺は明後日。と言ってもさすがに業者に全部お任せ。いくら近くても重い家電もあるしね」
「確かに、そっちはプロに任せたほうがいいよね。それにしても、さっちゃん、よく一緒に住むお許しでたよね」
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