年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 なんと答えれば正解なのか、俺にはわからない。いや、ただ黙って聞いているのが正解なのかも知れない。学さんはきっと、肯定されたいわけでも、否定されたいわけでもないはずだから。

 しばらく想いを馳せるように外を眺めていたかと思うと、また学さんは続けた。

「美紀子の家に行って、勢いのままに結婚申し込んでな。アイツの親には土下座して、祖母ちゃんにひ孫見せてやりたいって頼み込んだ。さすが2人とも戸惑ってた。俺はやっとそこで冷静になって、なんて馬鹿なこと言ったんだろうって後悔した。もう見捨てられてもしかたないってな」

 そう言うと学さんは、ふっと小さく息を漏らした。

「だが、美紀子が説得してくれてな。俺達は結婚することになった。祖母ちゃんは、孫のように可愛がってた美紀子との結婚をそりゃあ喜んでくれてな。ひ孫を見るまでは元気でいないとって、言葉の通り気力を取り戻してくれた」

 俺はただ学さんの話を静かに聞き入っていた。いつかくる別れの話は、自分自身も経験したからか、胸が痛む。

「その後は順調だった。時々ふと、俺はこんなに幸せでいいんだろうかって思うくらいにはな。だが、その反動は咲月が生まれるときにやってきた」
「……え?」
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