年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 あ、そうだ

 ふと、前に届いた郵便物の存在を思い出す。前にした仕事の関係で送られてきたそれを、リビングと続きの作業スペースにしている一角にしまったっけ、とそこに向かった。写真補正用のタワー型パソコンの近くに棚を置き、そこに資料を突っ込んでいて、確か中身の確認だけしてそこにしまい込んだはずだ。

「睦月さん、お茶淹れるね。……どうしたの?」

 封筒を取り出して立ったままそれを眺めている俺に、さっちゃんが顔を覗かせて尋ねた。

「えーと。急にこれの存在思い出して」

 決まりの悪い表情を浮かべて俺はさっちゃんにそう答える。さっちゃんには、カタログしか見せてない。実は他にも色々と入れてくれていたのだけど、俺は無意識に見ないようにしていたのかも知れない。

 さっちゃんが不思議そうな表情を浮かべて俺に近寄ると、手にしているチラシを覗き込んだ。

「……ブライダルフェア? ここって前に睦月さんが仕事したところ?」
「そう。カタログと一緒に色々と送ってくれてたんだけど、その時はあんまり夢ばっかり見るのもなぁってじっくり見てなくて」

 そう言って俺は手元に視線を落とした。そこにはフェアの開催日程やイベント内容が記載されていた。
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