年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「さっちゃん、行ってみない? ネットで予約できるみたいだよ」
「うん。行ってみたい!」
「じゃあ予約取るね。そうだ。連休後半、フェア巡りする? やっと現実的になったし、勢いあるうちに」

 そう言って笑いかけると、さっちゃんも笑顔を見せる。

「そうしよう? 仕事にも役立つかも知れないし」

 それに俺は「ふふっ」と笑いながら、さっちゃんの額に唇を寄せた。

「さすが。俺の奥さんになる人は勉強熱心だ」

 髪の隙間から見える額にチュッと音を立てて口付けてからさっちゃんの顔を見ると、恥ずかしそうにしながら俺を見上げていた。

「なんか……睦月さんと結婚するんだなぁって、急に実感湧いてきたかも」

 さっちゃんは俺の両腕の隙間から手を入れて、ぎゅうっと抱きしめる。さっちゃんは人前で甘えてくることはないけど、2人きりの時はこうやって甘えてきてくれる。その姿がとてつもなく可愛いんだよな、なんて口元を緩めながら持っていたチラシをテーブルに置くとさっちゃんを抱きしめた。

「今も世界一可愛いけど、結婚式で世界一可愛い花嫁さんになってもらうからね? きっと学さん、さっちゃん見るだけで泣いちゃうって」

 冗談めかしてそう言うと、さっちゃんから「睦月さんも泣きそうだよ?」と笑いながら返ってきた。
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