年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「全部で20人くらいだね。正直、俺披露宴って苦手と言うか……。朔の式ってさ、職場結婚だったから親族友人の他に上司同僚後輩って結構な規模だったんだよね。余興とかスピーチとか大変そうだったし、本人達は高砂の上でゲストとあんまり話も出来なかったって聞いて。もちろんさっちゃんがそういう披露宴やりたいならそうするよ?」

 結婚式に呼ばれたことなどまだあまりないけど、私もゲストとして参加するのはいいけど、自分が主役としてあの場所にいるのを想像するだけで顔が引き攣ってしまう。

「ううん? 私も苦手かも。ゲストが少ないんだったら、もっとアットホームな感じがいいな。香緒ちゃんの結婚式みたいな」

 約半年前にあった香緒ちゃんの結婚式。もちろん参列したのはごく少数。本人達を除けば10人だ。写真を撮るだけと伝えられていた2人に、サプライズで式とパーティが行われたのだけど、本当に素敵な式だった。私もできるならあんな式とパーティにしたいと思ってしまう。

「だよねぇ。結局、本当に身内みたいな人しかいないしね。そんな場所探してみよっか」

 睦月さんはそう言うとタブレットを操作している。

「うん。そうしよう?」

 すんなりと話はまとまり、私たちはタブレットとにらめっこしつつ、いくつかフェアの予約を入れたのだった。
< 554 / 611 >

この作品をシェア

pagetop