年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 それから3人で近くの喫茶店に入る。カフェじゃなくて、落ち着いた本格的な喫茶店だ。ほどなくして睦月さんが現れた。

「お待たせ!」

 小さくそう言うと、睦月さんは私の隣に座った。

「こっちこそ。急に呼び出してごめんね! 睦月君に聞きたいことあって」

 まず香緒がそう切り出した。睦月さんはお水を運んできた店員さんにアイスティーを頼むと香緒ちゃんに向き直った。

「何? 改って」
「あのさ、司の写真撮るんでしょ? スタジオ決まった?」

 香緒ちゃんにそう尋ねられて、睦月さんは私の顔を見る。

「ごめんなさい。やっと話せると思うと嬉しくて」
「いや、いいんだ。俺も一人で考えるのに限界あったから。香緒も希海も、どっかいいところ知らない?」

 睦月さんは私に笑顔で答えてから、目の前の2人に尋ねた。そして、香緒ちゃんはそれを聞いて笑みを浮かべて口を開いた。

「それなんだけど。さっきから考えてたんだけど、スタジオじゃなくて、本物の場所はどう?」
「本物って、式場とか?」

 私がそう返すと笑顔で香緒ちゃんが頷く。

「僕も教会で撮ったじゃない? そんな感じはどうかなぁって。どう? 希海」

 香緒ちゃんは希海さんにそう話を振った。
< 566 / 611 >

この作品をシェア

pagetop