年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「司と瑤子さんのためにサプライズ仕掛けようよ!」

 とても楽しげに言う香緒ちゃんに、睦月さんも笑顔を見せる。

「だね。俺も司の驚くところ見たい」

 もうすでに2人は子どもみたいにワクワクしているのが手に取るようにわかる。対照的に希海さんは頭を抱えるように渋い顔をしている。

「その辺りも含めて母に相談します」
「希海、よろしく! ……僕さ、自分のときに凄く嬉しかったんだよね。あとで写真見せたらいいや、なんてその時には考えてたけど、やっぱり両親とかみんなに見てもらえて良かったって思ったから」

 しみじみと香緒ちゃんはそう言う。
 香緒ちゃんも、写真を撮るだけのつもりだった。でも、武琉君の友人がこっそり式とパーティーの段取りをして、身内や近しい人を呼んでいたのだ。私も、あの瞬間に立ち会えて良かったと今でも思う。

「そうだな。司が喜ぶかはわからないが、少なくとも瑤子さんは同じように思ってくれるだろう」

 希海さんは少し目を細めて香緒ちゃんにそう言った。

「じゃあ、司に当日までバレないよう動かなきゃね。これから忙しくなりそう」

 睦月さんはそう言いながらも、凄く嬉しそうだ。

「ほんと! サプライズウエディング大作戦だね?」

 そう言って、香緒ちゃんはニッコリと笑った。
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