年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
「こっちはどう? もうゲストは揃った?」

 すでに華やかなベージュのパンツドレス姿の香緒に俺は尋ねる。

「そろそろ美容室使ってる人達は終わると思うよ? さすがに時間被らないようにしなきゃだし」

 奥を見ると、ヘアメイクの必要ない男性を中心にテーブルで談笑しているのが見えた。知っている顔もあれば、知らない顔もそこにあった。

「2人は? 着替えないの?」
「さすがに最初から礼服着てたらバレるって。ネタバラシしてから着替えるよ。さっちゃんは……難しいけどね」

 残念ながら、さっちゃんは着替える暇がなさそうで黒いパンツスーツ姿だ。

「もう! 私はどんな格好でもいいの。瑤子さんを世界一綺麗にするのが私の今日の仕事なんだから!」

 さっちゃんのフォーマルドレス姿を見たかったとあまりにも俺が言うものだから、さっちゃんは呆れたようにそう言った。

「睦月さん。綿貫」

 入り口で会話していた俺達の元へ、さっきまでテーブルで話をしていた希海がやって来る。もちろんブラックスーツ。なんかもう、どこのモデルだよと突っ込みたいくらいサマになっている。

「お疲れ様! 今日はよろしく」
「それは俺のセリフです。よかったら、今いる親族だけでも2人に紹介したいのですが」

 希海は俺達にそう言う。そして俺は、急に緊張感が増しただろうさっちゃんと顔を見合わせた。
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