年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 自分に呆れながら溜め息を吐くと、車のハザードランプを付けて、前にさっちゃんを降ろした公園近くに駐車した。

「さっちゃん? 着いたよ?」

 出来るだけ顔を見ないように呼びかける。

「さっちゃん。起きて?」

 起きなきゃ……連れて帰るよ?

 何て言葉を飲み込んで、さっちゃんに声をかける。

「……ん……」

 悩ましげな声が聞こえてきて、もぞもぞと動き出す。これ以上ここにいたら、本当に俺の理性は何処かへ行ってしまいそうだ。

 さっちゃん、ごめん!

 運転席を降りて助手席側に回る。そして、遠慮なくそのドアを開けた。

「さっちゃん! 着いたから起きて!」

 冷たい空気が車内に一気に流れ込んで、さっちゃんは驚いたように飛び起きた。

「えっ! 何?」

 まださっちゃんは状況が掴めていないようで、キョロキョロ辺りを見渡すと、ゆっくりとドアを開けて立っていた俺を見上げた。

「おはよ! さっちゃん」

 明るく言う俺に、さっちゃんは決まりの悪そうな顔で「すみません……」と謝る。

「何で謝るの? 連れ回したの俺でしょ? さ、降りて? 今日は家の前まで着いて行くからね」

 気にさせないようにそう言って、俺は後部座席のドアを開ける。そこからさっちゃんの大きな荷物を取り出して肩から担いだ。
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