Death Contract‐死神の契約‐
「んぁあ…?」


春稀は目を開けた。由佳が、心配そうに春稀の顔を覗き込んでいた。


「大丈夫?うなされてたけど…」

「…ああ」


春稀は小さく伸びをすると、起き上がった。
毎年。
春稀はこの日に、同じ夢を見る。
家族がさらわれた、あの日の夢を…。


「お、春ちゃんはお目覚めかな?」

「そこから落ちて死ね」


春稀は、柵に寄りかかっている翔に言った。


「ちょっと、由佳、どう思う?朝からずっとこんな感じなんだよ?ひどいと思わない?」


オネエ風に口調を変えた翔が、すがるように由佳に言った。


「あたしは春稀の味方ー」

「げぇっ!カップル二人して俺の敵かよー。俺、何かしたか?」

「朝、俺の頭殴った」

「500円返してもらってない」


春稀と由佳は、顔を見合わせて笑った。
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