コーヒー店のアールグレイ女史

「以前と同じでした。すっごく美味しかったです。スーパーで声かけてもらって、このマンションに来てカレー食べさせてもらって、事務所に迎えてもらって・・・なんて感謝したらいいか・・・でも、試験に受からないと恩返しできない・・・」

「仕事も頑張ってくれているから、井上さんも助かっているって言ってたわ。もう返してもらっているわよ。さあ、頂いたケーキを食べましょ。西島君の淹れてくれるアールグレーティーとは違うけど紅茶飲もうか。」

私は台所に立った。

西島は、カレーのお皿を流しに置いた。
そして・・・いきなり私を後ろから抱きしめた。

髪の毛が頬に触れた。

「西島君・・・どうしたの・・・」

「藤堂さん。僕・・・ずっと藤堂さんのこと・・・コーヒー店で朝会っていた時から・・・毎日朝が楽しみで、たまに会えないと一日心配で・・・出張なのかな、それとも具合悪いのかな、なんていろいろ考えたりして・・・スーパーで声かけてもらった時は驚きました。弁護士だって聞いて話すきっかけが出来たって嬉しくて・・・看病してもらったときもあまりの嬉しさに涙出ちゃって・・・。そして今日、藤堂さんの普段着姿初めて見た。いつもと違ってフワッとしていて・・・可愛い。・・・もう我慢できません。藤堂さん・・・」

私は涙が出た。言葉が出なかった。

「友莉子さんって呼んでいい? 友莉子さん・・・こっち向いて・・・」

西島は私の頬に手を触れてキスをした。
私は拒まなきゃと心のすみっこでは思いながらも、身体は動かなかった。

「西島君・・・私もあなたのこと・・・好きだけど・・・でも・・・あっ・・・」

「友莉子さん・・・」

西島は私をベッドに押し倒した。
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