お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
 約束通り、部屋のカーテンが開けられており、カルヴァドスが戻っても問題ないことは一目瞭然だった。
 しかし、ドアーを開けて部屋に入ったカルヴァドスが見たものは、壁に貼り付くようにして寝ているアイリーンの姿だった。

(・・・・・・・・なんでだ! せっかく両想いなのに、どうして、またベッドで背中合わせで寝ないといけないんだ? これも何もかも、アイリが身分を明かしてくれれば解決することなのに・・・・・・・・)

 カルヴァドスは考えながら、着替えるとアイリーンを起こさないように静かにベッドに入り、仕方なく背中合わせで横になると、アイリーンを腕に抱いて寝ていた昨夜までの温もりが恋しかった。
 それでも、明日はいよいよエクソシアの港に入港する。
 予定では、アイリーンを美味しいカフェやレストランに連れていく予定で、その前に下準備として、美しいドレスを買い、有名アクセサリー店をはしごして、美しく着飾ったアイリーンと一緒に街を歩いてデートし、高級ホテルでゆったりと二晩過ごしてから船に戻る予定だった。
 きっと、船旅に慣れていないアイリーンは、船を降りて半日は世界が揺れて感じるだろうから、まずはホテルで休憩して、その後お洒落なカフェで軽くランチを摂り、レディーメイドのドレス店でドレスを選び、夕食までに即行で直して貰い、有名レストランでお洒落なディナー。ホテルのバーで軽く一杯飲んで部屋に戻り、あとは揺れないベッドでぐっすり朝まで眠ればいい。
 カルヴァドスは計画に酔いしれながら眠りについた。
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