お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
「風が良かったので、予定より早く、明日の午後にはタリアレーナに入港する」
 ディナーの席で船長から発表があり、カルヴァドスが力強い笑みでアイリーンの事を見つめた。
「ただ、入港の手続きなどあれこれあるので、上陸は夕方になる」
 カルヴァドスの言葉に、アイリーンはお礼の言葉が見つからなかった。
「じゃあ、港から馬車で目的地に向かいます」
 いきなり夕刻に尋ねたら、叔母がどれほど驚くだろうかと思うと、アイリーンは申し訳ない気持ちになった。しかし、一国も早く兄の居場所を調べなくてはいけないのだから、そんな事は言っていられない。
「姫さん、俺、送っていって良いか?」
 カルヴァドスの問いに、アイリーンは『はい、もちろんです』と答えた。その落ち着いた瞳に、何を見たのか、カルヴァドスは寂しそうな笑みを浮かべた。


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