お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

 予想通りというか、恐れていたとおりと言うか、部屋はダブルルームで、ベッドが一つしかなかった。
「レディは、ベッドを使いな。俺は床で良いから・・・・・・」
 カルヴァドスは言うと、荷物を下ろし、袋の中から巻かれた絨毯のような物を取り出して床に敷いた。
「あの、それでは申し訳ないので、私が床に寝ます」
 アイリーンは言ってみたものの、床に寝たことなど無いので、本当に寝れる自信はなかった。
「遠慮しなくて良い。見れば、レディがかなり高貴な家柄のお嬢さんだってのは俺には分かる」
 カルヴァドスの言葉にアイリーンはドキリとした。
「それに、レディの名前。アイリス・ローラ・エンゲルバートって偽名だろ・・・・・・」
「そ、それを言ったら、カルヴァドスさんだって、偽名ですよね?」
 アイリーンは焦りを悟られないように言い返した。
「何で?」
「だって、カルヴァドスはエクソシアの林檎のお酒の名前ですよね。それで、カスケイドスは確か、エクソシア語で『瀧』って意味ですよね?」
 言ってしまってから、アイリーンは慌てて口を押さえた。
「へぇ。レディはエクソシア語がわかるのか?」
「ほんの少しだけです。お父様がエクソシア帝国と貿易のお仕事をしているので、少し習っただけです」
 アイリーンは次から次へと、ボロの出そうな嘘を並べた。
< 58 / 317 >

この作品をシェア

pagetop