BITCH
 トーリが何を思ってようが関係ない。


 あたしが寂しくなかったら他は何だっていい。


「トーリ、あたしの名前知ってるよね!?」

「……なづな」

「漢字は!?」

「は?」

「あたしの名前の漢字! あたしはトーリの知ってるよ! 春夏秋冬の『冬』に理科の『理』で『冬理(とうり)』! 合ってるっしょ!?」

「……ああ」

「じゃあ、あたしの名前の漢字は!? 何と何!?」

「……『夏』と『(なぎ)』」

「でしょ!? 知ってるよね!? 知ってて当然だよね!」

「当然っつーか――」

「その当然を、あの男は知らなかったんだけど!」
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