BITCH
「ちゃんと聞いて!」

「聞いてるって。昨日会った時は好きって言ってたくせに、今日会ったら『前から無理だと思ってた』って言われたんだろ?」

「そうだけど、そうじゃない! あたしはちゃんと聞いて欲しいの!」

「だから聞いてるって」

「こっち見て!」

「どっち見てても聞いてるから大丈夫」

「ちゃんと! あたしを見て! 聞いて欲しいの!」

「めんど――」

「じゃないと寂しい!」

 大きな声で訴えると、トーリは一旦大きめの溜息を吐き、体を斜めにして、こっちに顔を向けた。


 鼻水垂れ流して泣いてるあたしを見て、変化するトーリの表情は分かりやすく呆れてる。


 でもそんなのはどうでもいい。
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