運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



もう受け入れられる脳の容量がいっぱいいっぱいでただただ膝の上で真っ赤な顔をしながらカチコチに固まるわたしに、かの人は嬉しそうに笑ってそっとわたしの手を取った。


慎重に、大切そうに、宝物を壊さないように繊細に。それだけでも感じる優しさと愛情に甘く胸が締め付けられた。



「魔術師はね、一度こうと決めたものや気に入ったものにはとても丁寧に接するんだよ」



それは魔術師がそういう気質ということらしい。絶対とまではいかないものの、統計的にはそうだし、魔術師たち本人も自覚しているらしい。だからこそなのか、魔術師達はある程度全てに精通するというよりもひとつの分野を突き詰めていく人がほとんどなのだとか。


ある意味で自分の好きなことや興味のあることにしか真剣になれないので、究極の趣味人だと言われることもあるらしい。そして一度そういう対象を決めると飽きることも一生ないらしく、初めから一生好きでいられるものを本能でわかっているのではないかと考察されているとか。



「だから、と言っていいのかわからないけれど私も、貴女に決めたから」



ちょっとだけ頬を染めて遠回しにずっとそうなのだと伝えてくれる姿にますます胸が苦しくなる。好きすぎる………そして伝え方がかわいい。ちょっと拙い感じが堪らなくかわいいのですが。え、もうわたしの心臓すごいはやいんだけど本当の本当に大丈夫?


まるでそれが当然とばかりに自然な仕草で自分の手がグラナティス様の唇に導かれるのを凝視する。手の甲に柔らかな感触とほんの少しの温もりを与えて静かに離れたのを夢心地に感じて。



「お嫁さんになってくれるかい?………………私の、運命」



ひゃい、という間抜けな返事にそれはそれは輝くような笑みを向けられてわたしはとうとう失神した。




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